
ノートの整理をしていたら、
思いがけないものが出てきた。
映画『まあだだよ』の名言を書き写した
ノートである。
どうやら映画を観た直後に書いたらしい。
文字はお世辞にもきれいとは言えない。
いや、かなり自由奔放である。
今の自分が書いたとしても、
読み解くのに相当な時間がかかりそうだ。
しかし、そこには確かに、
あの映画を観て
何かを感じた自分がいた。
心に響いた言葉を、忘れないように
残しておきたかったのだろう。
映画を観て、感動して、
それで終わりにせず、
わざわざノートに書き写す。
今思えば、ずいぶんまじめなことを
していたものだ。
もっとも、そのまじめさが今も続いて
いるかと聞かれると、少々返事に困る。
それでも、こうして昔のノートを開くと、
当時の自分が何を考え、
何に心を動かされたのか、
ほんの少しだけわかる気がする。
人間は不思議なもので、
そのときには大切だと思っていたことも、日々の暮らしの中で少しずつ忘れていく。
仕事に追われ、あれこれと考え、
昨日のことさえ曖昧になっていく。
そんな毎日の中で、昔の自分が
書き残した言葉に再会する。
それはまるで、遠い昔の自分から手紙が
届いたようなものだ。
ただし、差出人は自分で、宛名も自分。
しかも、字が読みにくいという、
なかなか厄介な手紙である。
それでも、捨てずに残しておいて
よかったと思う。
映画を観た直後の自分と、今の自分。
同じ言葉を読んでいても、
感じ方は少し違うのかもしれない。
あの頃にはわからなかったことが、
今ならわかることもある。
反対に、あの頃のほうが素直に
受け取れた言葉もあるだろう。
時間がたつというのは、
何かを失うことばかりではないらしい。
昔の自分が残してくれたものを、
今になって受け取ることもできるのだから。
ノートの整理をするつもりが、
いつの間にか昔の自分と向き合っていた。
人生、なかなか片づかないものだ。
本棚も、ノートも、頭の中も。
それでも、こうして立ち止まる時間が
あるのは悪くない。
『まあだだよ』という映画の題名が、
今になって、なんだか心にしみる。
まだまだ、なのか。
もうそろそろ、なのか。
その答えは、急いで出さなくても
いいだろう。
とりあえず、今日も生きている。
昔の自分が残した言葉を、
今の自分が読んでいる。
それだけで、なんだか少し、
うれしい気がした。
今日も1日御安全に!!!🐼