
僕は図書館は昔から利用している。
必要な本を探しに行くというより、
たまに自分の知らない時間を
借りに行くような感覚がある。
今回は、知り合いに勧められた本を
読んでみようと思った。
チャールズ・ブコウスキー。
名前は聞いたことがあった。
でも、実際に読むのは初めてだった。
図書館の棚から何冊か手に取った。
そして家に帰って、
テーブルの上に並べてみた。
そこで、ひとつの小さな事実に気がついた。
「パルプ」が二冊ある。
どうやら僕は、
同じ本を二冊借りてきたらしい。
本を二冊借りたことより、
それを家へ持って帰るまで気がつかなかった
自分のほうが、少しおかしかった。
でも考えてみれば、人生なんて
そんなものなのかもしれない。
必要なものを探しているつもりで、
同じものを二つ持って帰ってくる。
そして、あとになってから気がつく。
ブコウスキーの本を読みながら、
そんなことを考えた。
静かな夜だった。
レコードをかけるには
ちょうどいい夜だった。
二冊の「パルプ」は、
まだテーブルの上にある。
チャールズ・ブコウスキーの
『パルプ』を読んだ。
探偵小説なのだけれど、
普通の探偵小説とは少し違う。
事件を解決するというより、
事件のほうが勝手に転がってきて、
主人公はそれを面倒くさそうに
追いかけている。
探偵のニック・ビレーンは、
酒を飲み、金に困り、女に振り回され、
まともに働いているようにも見えない。
それなのに、不思議と悲壮感がない。
むしろ、人生なんてこんなものだ、
とでも言うように淡々としている。
読んでいると笑ってしまう。
でも、その笑いの底には、
少し寂しいものが沈んでいる。
人間は立派じゃなくても生きていける。
失敗しても、金がなくても、格好悪くても、なんとか一日を終えることはできる。
そして、そういうどうしようもなさの中に、妙な可笑しさがある。
ブコウスキーは、それをきれいに
まとめようとはしない。
汚いものは汚いまま、情けないものは
情けないまま書いている。
そこが妙に心に残った。
読み終わって本を閉じたとき、
「面白かった」というより、
「まあ、人間なんてこんなもんか」
という気持ちになった。
今回、僕は図書館で『パルプ』を
二冊借りていた。
これはブコウスキーの影響なのか、
それとも単純に僕がぼんやりしている
だけなのか。
たぶん後者だと思う。
今日も1日御安全に!!!🐼