パンダ警備合同会社|徳島市内の交通誘導警備、イベント・雑踏警備。男女警備員も大募集中!

  • 男女警備スタッフ募集中!
  • 経験者優遇、未経験者もOK!
  • 24時間/年中無休
  • いつでも連絡いけますが、イタズラ電話やめて下さいな。
  • 088-602-7020
  • 募集要項はこちら
TOP >  パンダ警備百点会⑤『白黒つけられた男』

NEWS

2026/06/09パンダ警備百点会⑤『白黒つけられた男』

大和田獏郎が再び現れたのは、

昼下がりだった。

現場は片側交互通行。

いつも通り、どうでもいい時間。

突然のにわか雨が激しく不気味に通り過ぎた。

止み終わったその直後だった、、。

まだ辺りは異常なくらいに暗い…。

「クククククッ……お疲れ様です」

振り向いた林田は、

一瞬だけ固まった。

「……お前か」

黒いマオカラースーツ。

ピカピカのエナメル靴。

そして、いつもと変わらない無表情。

大和田獏郎。

周りの隊員たちは、妙に静かになった。

天音だけが、なぜか笑っている。

「今日は勧誘じゃない」

獏郎は、そう言った。

「……じゃあ何しに来た」

林田は、いつもの強気で返す。

だが、ほんの少しだけ声が硬い。

獏郎はポケットからタバコを出しかけて、やめた。

現場ルールを守っている。

それが逆に不気味だった。

「クククッお前を引き抜かなかった理由を、教えに来た」

その一言で、

空気が変わった。

野高が小さく「えっ」と声を漏らし、

廣川は旗を落としかけた。

林田は笑った。

「はは、やっと評価か。遅いんじゃないか?」

獏郎は、即答した。

「違う。クククッ評価はとっくに終わっている」

沈黙。

「結論から言う」

獏郎の目は、一切ブレない。

「クククッ林田、お前だけは戦力外だ」

「お前とは会った時から最初から戦力と

して見ていないがな。ククク…。」

「お前は使いものにならないんだよ」

「アハハハハハハハ!!」

誰も動けなかった。

風の音だけが、やけに大きい。

「……理由は?」

林田の声は、思ったより落ち着いていた。

怒りでもなく、焦りでもなく、

ただ確認するような声。

「三つある」

獏郎は指を一本立てた。

「一つ。感情で動く」

二本目。

「二つ。無駄に現場に残る」

三本目。

「三つ。仲間を捨てられない」

林田は、笑った。

「それの何が悪いんや!大和田!!」

獏郎は少しだけ間を置いた。

「全部だ」

野高が、息を呑む。

沼田は、珍しく起きている。

天音は、ずっと笑っている。

梅おにぎり師匠はおにぎりを食べ続けている。

「俺の会社に必要なのは、交換できる人間だ」

「壊れたら替える。迷わない。止まらない」

「お前は違う」

林田の目が、ほんの少しだけ細くなる。

「お前は、止まる」

「誰かのために」

「意味もなく」

沈黙。

そのとき、無線が鳴った。

「はい、林田です」

いつもの声。

何も変わらない声。

「了解、送ります。」

旗を上げる。

車がゆっくり動き出す。

獏郎は、それを見ていた。

じっと。

「クククッ……だからだ」

小さく、呟く。

林田は振り返らない。

「用件それだけか?」

「終わりだ」

「安心しろ。クククッ…最初からお前は数には入れていない。」

「お前ぐらいはいくらでもいる。」

「無限にな。ブハハハハ。」

「ククク……林田。」

「次に会う頃には、もっと静かになってるだろうな。ケヒッ…。ケヒヒヒヒ…。」

獏郎は背を向けた。

去り際、天音の横を通る。

天音は、くすっと笑って言った。

「ねぇ、獏郎さん」

足が止まる。

「それ、“戦力外”じゃなくてさ」

少しだけ首を傾けて、

「一番厄介って意味でしょ?」

獏郎は答えなかった。

だが、ほんの一瞬だけ、

口元が動いた。

「ンフ……。」

去っていく背中。

林田は、最後まで振り返らなかった。

ただ、旗を振りながら、

小さく呟いた。

「……上等や」

車の流れは、止まらない。

白線の上に、立ち続ける男がいる。

今日も1日御安全に!!!🐼

こちらもどうぞ